注目される新たな財源「ホテル税」!〜東京都に続き大阪府でも導入開始!

●  大阪市でもホテル税(宿泊税)導入

大阪府では、本年1月1日から法定外目的税として、宿泊税導入がスタートしました。大阪府では、10億円程度の税収を見込んでおり、国際都市としての魅力を高めるとともに、観光振興事業に充当していく予定です。ホテル税の導入は東京都に続き2例目であり、インバウンド事業が活性化する中、今後、他自治体にも拡がっていく可能性があります。

 

宿泊税(大阪府HP)

http://www.pref.osaka.lg.jp/zei/alacarte/shukuhaku.html

 

宿泊料金(1)(11泊)

税率

10,000円未満

課税されません

10,000円以上15,000円未満

100円

15,000円以上20,000円未満

200円

20,000円以上

300円

(※1)食事料金などを含まない、いわゆる素泊まりの料金をいいます。

 

 

 

●  東京のホテル税は、年間20億円

東京都では10年以上前の平成14年10月1日からホテル税が導入され、平成27年度は20億円の税収となっています。

 

宿泊税(東京都HP)

http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/shuk.html

 

 

◆税率

 

宿泊料金(1人1泊)

税率

10,000円以上15,000円未満

100円

15,000円以上

200円

(注)宿泊料金が1人1泊10,000円未満の宿泊には課税されません。

※宿泊料金とは、食事料金などを含まない、いわゆる素泊まりの料金をいいます。

 

 

 

●  東京都での宿泊税の使いみち

観光振興に係る東京都の事業費は約152.9億円(平成28年度)となっており、その一部に宿泊税の税収が充てられています。

観光振興をはかり、国際都市東京の魅力を高める為に以下のような事業に使われています。

 

◯外国人旅行者誘致の新たな展開

多様なターゲットに向けたプロモーション、ツイッター、ファイスブック等のSNSなど、多様な媒体を活用した情報発信など

◯魅力を高める観光資源の開発

外国人旅行者誘致に向けた観光資源開発、観光まちづくりに着手する地域への支援など

◯受入環境の充実

ICTを活用した情報提供の充実、道路・交通機関等における案内サインの多言語化など

 

 

●  神奈川県でも「宿泊税」検討開始!?

大阪府で宿泊税が開始される中、新聞記事によれば、神奈川県でも宿泊税を含めた新財源の導入検討が始まりそうです。

 

訪日客対応へ新財源、1月中に協議会県、検討開始(神奈川新聞)

http://www.kanaloco.jp/article/222623

 

 

●  課題

宿泊税導入にあたっては、課税の金額、負担の公平性、業界団体の賛否など、様々な検討すべき課題が存在します。

しかしその中でも一番大きな課題は、10億円単位の税収をどのような事業に使っていくのか、という明確なルール作りです。大阪府では、資金難の「御堂筋イルミネーション」事業への予算充当について、流用ではないかという指摘があり、突っ込んだ議論があったようです。

 

海外では、観光地域のマネジメントやマーケティングを担う組織であるDMO(Destination ManagementもしくはMarketing Organization)の財源として宿泊税が充てられ、明確な税の「使用目論見書」に沿った予算執行が行われています。

DMOでは、観光に関する各種データの収集・分析、戦略の策定やKPI・KGIの設定、PDCAサイクルの確立などを基礎とする科学的アプローチを導入した「観光地経営」を、業務執行やマーケティングの専門家が行っています。

まずは、集めた税金の使い方を詳細に定めた「使用目論見書」をしっかりと作る事と、KPI・KGIに基づいた観光政策に関する「目標管理」をしっかりとやる事が、目的税導入にあたっての、第一歩目の課題であると考えます。

 

 

KPI(=Key Performance Indicator)

KGI(=Key Goal Indicator)

→「KGI」も「KPI」も、共に、企業目標を達成するための手段(となる行動)が遂行されているか?を定量的に測定する指標の1つです。「KGI」が、プロセスの目標(ゴール)として達成したか否かを定量的に表すのに対して、「KPI」は、プロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示すものになります。

 

 

今年はホテル税による観光振興の議論が進む?